2011年11月10日木曜日

今月の歌舞伎 十一月

新橋演舞場 夜の部

「外郎売」
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「京鹿子娘道成寺」
菊之助の道成寺。渡辺保先生のいう時分の花で、実に美しいが、肝心の踊りは面白いものではなかった。
性根を顔で表し過ぎるきらいがあり、振りもはっきりしているようでそうでもない。落ち着いているようだが小さくまとまっているだけに見える。悪い時の福助をおもわせる…
菊之助ファンだからこそ、誹りを恐れずに書いている。
この大曲は、人気があり、客はわく。それにおごらず恐れをもって必死に踊ってもらいたい。まだ、余裕をもって道成寺を踊れる域には達していないのだから。

「髪結新三」
これぞ、顔見世という一幕。
毎度懲りずに言っているが、梅枝がよく、時蔵とのコンビで序幕を手堅くまとめたので、そのまま、うまく菊五郎の出番につないだ。梅枝の偉いところは若いのに台詞まわしがきっちりと定まっているところ。古風の顔立ちとあいまって、間違いなく新しい歌舞伎座で活躍する役者になるだろう。彼のような歌舞伎役者こそ大事にすべきだ。なお、菊五郎劇団では、菊之助が立ち役にまわった際に、梅枝が相手役をつとめるようになると私はみている。
菊五郎の良さはあらためて言うまでもなかろう。この台詞まわしを規範にしてもらいたいものだ。リズム、抑揚、どれをとっても聞かせる。世話でくだけてもくずれない。この巧さは、もう一度言うが、規範にしてもらいたいものだ。

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